高村光太郎

こないだ実家に帰った時に読書家の母が酔いながら
中学校時代に読んだ「高村光太郎」の「レモン哀歌」を
思い出しながら俺に話してくれた。
自分の波長に近い詩だったから今でも覚えてるそうだ。
おかんと俺はそういう波長、言い方を変えればセンスが
似てるのでこの人が気になって調べてみた。
調べてみるとこの人の詩は、
よく教科書に載っているらしい。
でも僕読んだこと無いです・・・
あと1938.10.5 高村光太郎の妻智恵子が亡くなったことから
10月5日は「レモンの日」なんだそうです。
この人のことはもう少し調べて見よう

レモン哀歌

そんなにもあなたはレモンを待ってゐた

かなしく白くあかるい死の床で

わたしの手からとった一つのレモンを

あなたのきれいな歯ががりりと噛んだ

トパアズいろの香気が立つ

その数滴の天のものなるレモンの汁は

ぱつとあなたの意識を正常にした

あなたの青く澄んだ眼がかすかに笑ふ

わたしの手を握るあなたの力の健康さよ

あなたの咽喉に嵐はあるが

かういふ命の瀬戸ぎはに

智恵子はもとの智恵子となり

生涯の愛を一瞬にかたむけた

それからひと時

昔山巓(さんてん)でしたやうな深呼吸を一つして

あなたの機関はそれなり止まった

写真の前に挿した桜の花かげに

すずしく光るレモンを今日も置かう


高村光太郎智恵子抄」より

ProjectG/死の詩の部屋 高村光太郎 レモン哀歌 梅酒